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YOASOBI新曲『New me』元ネタ小説集はなにがある?あらすじも紹介【ネタバレあり】

曲・小説・MV

『New me ―文藝×monogatary.com小説集―』が2024/11/11に発売されました。

本書は、「monogatary.com」主催のコンテストで選ばれた優れた小説を収録し、その中でも大賞を受賞した「白山通り炎上の件」は、リクルートのフリーペーパーに掲載され、さらに今回YOASOBIの新曲「New me」として音楽化されました。

その他の収録作品もそれぞれ個性的な視点と表現力で、現代の様々なテーマや感情を鋭く描いています。

この記事では、

どんな作品が収録されているのか、あらすじも含めて紹介します。

気になっているけどどんな作品がはいっているのか気になっている方ぜひ参考にしてみてください。

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YOASOBI新曲『New me』元ネタ小説集なにがある?

今回の小説集の名前は『New me ―文藝×monogatary.com小説集―』

2023年8⽉から10⽉に開催された「モノコン2023」で、応募総数879作、一次選考通過59作、二次選考通過14作の中から選ばれた⼤賞作品と、優秀作2作品、佳作4作品が「文藝×monogatary.comコラボ賞」として選ばれました。

この作品すべてが収録された小説集となっています。

大賞作品は以前リクルートとコラボされできたフリーマガジンに掲載、YOASOBIの新曲New meの原作となっています。

詳しい受賞と作品、作者は以下の通りです。

受賞作品名作者
大賞白山通り炎上の件有手窓
優秀サイボーグになりたいパパゲーノ東旺伶旺
優秀放浪する顔面佐加島テトラ
佳作青い木と遺棄目榎粒子
佳作グリーンベルベットの背骨青井井蛙
佳作タイポグリセミア本條七瀬
佳作さよならの海冬村未知

YOASOBI新曲『New me』元ネタ小説集のあらすじは?【ネタバレあり】

では次から、それぞれのあらすじをみていきましょう。

ライブ会場でフラゲしたこちらを早速読んでみました!

主観も入っていますので読んだ人によって感じ方は違うかもしれませんが、参考程度にしていただけますと幸いです。

大賞作品「白山通り炎上の件」【著者:有手窓】

本書の目玉である大賞作品「白山通り炎上の件」は、YOASOBIの楽曲「New me」の原作となった小説です。

主人公の女性が職場でうまく立ち回れるように『おじさんたち』に好かれるために自分を犠牲にしたり、女性同士の微妙な関係性など不条理な日常生活が描かれる場面から始まります。

上司に好かれるようにすると同僚の同姓からは距離をとられ、上司に反発すると、そちらからの反感から孤立し、どうしたら良いのかわからない。

この主人公と同じような悩みを抱えている方も少なくないかもしれません。

この物語は、現代に生きる私たちが抱える内面の葛藤や他者との関係性、そして自身の「変化」をテーマにしています。

主人公があるきっかけで内面と向き合い、自分を新たに捉え直す姿は、読者にも強い共感を与え、私たちが抱える日常の悩みに対して新しい視点を提供してくれます。

人間関係の摩擦や社会の中での自分の位置を考えさせられる展開の中で、「燃え尽きる」ことで初めて生まれ変わるというテーマが深く掘り下げられ、読みおわったあとに感じる爽快感と自己解放のメッセージが印象に残ります。

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優秀作品「サイボーグになりたいパパゲーノ」【著者:東旺伶旺】

次に紹介するのは、優秀作品に選ばれた「サイボーグになりたいパパゲーノ」です。

この物語は、38歳の女性・佐々木が、リモートワークでの単調な日々や長年抱えてきたコンプレックス、特に歯並びにまつわる悩みを通じて生きる意味を見失いかけている姿を描いています。

佐々木は長年の矯正治療にもかかわらず、リテーナーをつけ続けなければ戻ってしまう不安や痛みを抱え、母との日常の会話でも歯並びの話題が絶えません。

さらに、職場での仕事も「お祈りメール」など気が滅入る内容が多く、彼女は「生きている意味がわからない」と感じ、再び自分の殻に閉じこもっていきます。

そんな中、親友の誘いで高校時代の同窓会に参加した佐々木は、社会で成功している同級生たちと再会しますが、自分との違いを痛感。

特に、かつてのクラスメイト・橋田から容赦ない言葉を受け、自分の生き方や現状に対する劣等感や孤独感が一層深まります

先に帰ると席を離れたところで、親友が追いかけてきます。

話の中でその親友は余命宣告がされているという事実を知ります。

そして親友は生きているうちに、今の自分を好きでいるために矯正したいと、主人公に経験を話したり、病院に一緒に行ったり…

そんな親友とは最後の3日前まで共にいます。

ちなみにパパゲーノとは死にたい気持ちを抱えながら、その人なりの理由や考え方で死ぬ以外の選択をしている人を指します

最後には日記のように書かれており、パパゲーノはすべてを背負うには重すぎて倒れそうなときの杖となってくれる。

これからもそんなノートになるように願い、話は終わっています。

優秀作品「放浪する顔面」【著者:佐加島テトラ】

主人公は有人外宇宙探査船の搭乗オファーをもらった一流宇宙飛行士の女性。

AIと一緒に過ごす30年の一人旅。

顔面容姿において、評価されてこなかった主人公。

未来ならばそれも変わるかもしれないという希望から、軌道を変えて、更に500年生命維持装置の中で過ごすことを決意し、眠りにつきます。

そして目を開けた先では、自分の顔を、服のように手軽に、自由に変えることができる世界へと変わっていました。

500年前に評価されなかった顔が、主人公が目を覚ました時は人気の顔になっていたものの、時の流れで流行りは過ぎていきます。

そして最初は抵抗があったものの主人公も一回経験すると、顔をその時々に合わせて変えることに抵抗がなくなっていき・・。

今まであまりみたことない設定でしたが、「顔」という表面的なものに囚われがちな私たちに、自分が何者であるかを問う深いテーマを感じます。

個性の希薄化が進む現代において、自分らしさとは何かを考えさせられる作品です。

佳作「青い木と遺棄」【著者:目榎粒子】

宗教信仰がテーマとなった作品です。

主人公は青木。母親は信仰に染まっており、主人公は嫌気がさしています。

家や家族を自分の中で遺棄(捨てて)しており、学校から家に通っている感覚でいます。

そして学校の校庭の木の下には主人公が遺棄したとする女の子。

信仰が絡み、亡くなった好意のあった女の子。

罪悪感からも毎日きて話をしています。

愛とは、永遠に続く執着のこと。信仰とは、それ以外のすべてを棄てること。

今日もまたあの木の下に行き、話をし、ずっと一緒だと誓います。

恋愛ジャンルの小説ですが、いわゆる恋愛小説という形ではありません。

しかし、様々な愛のカタチがあるのだと感じますし、宗教信仰など信じすぎるとすべてが壊れる。

しかも自身はそれを感じることがない。

そんな恐ろしさをも感じ、考えさせられる作品です。

佳作「グリーンベルベットの背骨」【著者:青井井蛙】

グリーンベルベットは観葉植物です。

物語は収骨室から始まります。

主人公の兄の喉ぼとけのに付着していた種。これを育てることにします。

そして同時期に同じ職場でパートさんだった人に遭遇します。

同じ鉢植えをもっています。

原因不明の死産で、同じように種がついていたそう。

兄はグリーンベルベット、パートさんの子供はフクジュソウでした。

育ったグリーンベルベットの葉脈は背骨のようにくっきりと伸び、柔らかい内臓を守るための肋骨を広げています。

これを見ていると、いつか、私の手を引いて前を歩いてくれた、大きな背中を思い出します。

こうなりたかったという強い想いが種を残す。

葉の成長と共に主人公の心の成長をし、今までのトラウマも乗り越えていきます。

1章構成ですが哀しくも暖かい、そしてとても深いストーリーです。

佳作「タイポグリセミア」【著者:本條七瀬】

舞台はファミリーレストラン。主人公のまどかと、ある男が登場します。

主人公はソル・テイというアーティストをこよなく愛しています。

ソル・テイは韓国でデビューしたグループの一人。

日本を拠点に活動を始めることが発表されてすぐ、たまたま自分の家の近くに住んでいることを知ります。

推しが近くにいるという事実。あえなくても同じ空気を吸いたいという想いから毎日のように近くを通うようになります。

それほどまでに推していました。

ある夏の夜ソル・テイは埼玉のマンションに帰らずに、ホテルに泊まりました。

まどかと今ファミレスで一緒にいる男と一緒に。

この男はマネージャーでした。

同姓ですし記事にされても困ることはない。

そのための油断なのか、エレベーターに乗り込んだあと、その扉が閉まる直前に抱擁し、熱いキス。その姿をまどかは、スマホを握りながら、ホテルの外から全部見ていました。

その後に炎上。家ばれ。

その後ソル・テイの配信が行われた先で

「そのときは、あなたを凍らせてあげるよ。あなたは死んでも、ずっと永遠にそのままでいて。」

とコメント。

男のマネージャーはソル・テイの危険を感じ、主人公のまどかを呼びだし、止めようとしたのでしょう

実はファミレスの周りは私服警官が配備された状態でした。

ジェンダーや行き過ぎた推し。

さまざまな愛のカタチを表現されています。

タイトルのタイポグリセミアは、単語の文字順が変わっても、語頭と語末の文字が正しければ、問題なく読めてしまう現象をいいます。

この小説もこの現象で書かれており、一度読むだけでは難しいかもしれませんが、読めば読むほどに深い話だと感じます。

YOASOBI新曲『New me』元ネタ小説集はなにがある?あらすじも紹介【ネタバレあり】まとめ

YOASOBI新曲である『New me』の原作作品を含めた小説集『New me ―文藝×monogatary.com小説集―』

この小説集に載っている作品について、あらすじを含めて紹介しました。

白山通り炎上の件は現代に生きる私たちが抱える内面の葛藤や他者との関係性、そして自身の「変化」をテーマにしています。

サイボーグになりたいパパゲーノは、いろいろな理由で死にたい気持ちを抱えながら、その人なりの理由や考え方で死ぬ以外の選択をしている人が繋ぐノートがでてきます。

放浪する顔面自分らしさとは何なのか、顔に視点を当てて考えます。

青い木と遺棄宗教の信仰の怖さと孤独を感じます。

グリーンベルベットの背骨はある意味では一種の転生として植物に変わって、遺った人と一緒に成長していく心温まるお話です。

タイポグリセミアはかなり読み応えがある上級者向けですが、いろいろな愛の形がみえます。

どの作品にも現代の問題、悩みが取り入れられており、さまざまな視点から乗り越えています。

自分だけではたどり着けない世界が広がり、小説はおもしろいと感じます。

是非読んでみてはいかがでしょうか⇩

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ここまでお読みいただきありがとうございました。

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